INFOMATION
みのり通信2022年9月号
INFOMATION2022.09.01
院長より
お盆休みにこの原稿を書いていますが、今年の夏も連日35度を超える猛暑が続いています。
東北や北陸では豪雨による災害も報道され、明日は我が身と思うと他人ごとではありません。
東京に行った次女はまだ災害グッズを用意していないので、地震があったらと思うと心配です。
7月末に所用で京都に行きました。
帰りの新幹線まで少し時間があったので、平安神宮をお参りしてきました。
細い路地には京の町家があり、古都の風情を感じましたが、外国人観光客はほとんどいなくて静かなものでした。
境内には「七夕まつり」と称して、風鈴に願い事を書いた短冊が吊るされており、涼やかな音に暑さを忘れるひと時でした。
このお盆休みは母の初盆でした。
スタッフからお線香と蝋燭をもらいました。
「先生のお母さんが喜ぶと思って」と手渡されたのは「イチゴ大福キャンドル」。
コロナ禍ということもあり、親戚も遠慮しますという連絡ばかりで静かなお盆でした。
ただ、いつお客様が来られるか分からないので、家を空けることができずもっぱら家でできる仕事に取り組んでいました。
少しずつ母の荷物を片付けながら、幼かった時からの様々な出来事が思い出され、改めて親に対して感謝している毎日です。
けれども、もっと「ありがとう」と言えばよかった、もっと優しくしておけばよかった、など後悔ばかりしています。
アメリカインディアンの教えに、「あなたが生まれたとき周りの人は笑って、あなたが泣いたでしょう。
だから、あなたが死ぬときはあなたが笑って、周りの人が泣くような人生を送りなさい。
」という言葉があります。
赤ん坊は生まれてすぐに大きな産声を上げて泣きますが、赤ん坊を取り囲む家族は微笑んでいます。
死ぬ時は周りの人たちがその人を惜しんで泣いて、本人は「よい人生だった」と満足して笑顔で旅立つことができるとよいですね。
また、ギター製造会社フジゲン会長、横内祐一郎氏の言葉に「人が死んだ後に残るものは集めたものではない。
与えたものである。
」というものがあります。
私も会社員であれば定年退職が近い年齢になりました(最近は年金問題もあり、70歳まで働こうという風潮がありますが)。
若い頃はあれが欲しい、これが欲しいという欲求がありましたが、最近はものを手に入れるよりも納得のいく生き方をしたいという気持ちが強くなっています。
残された臨床医としての時間を自分が勉強することでどのように患者様のために役立つことができるか、を考え精進していきたいと思います。
ところで、昨年暮れにアメリカ抗加齢医学会の認定医試験を受けたことを報告しました。
試験は合格しましたが、その後に様々な手続きを行わなければならず、例によって期限ぎりぎりまで持ち越してしまい、学会の担当者に何度もメールをして(翻訳ソフトに助けられました)ようやく認定証が送られてきました。
日本では得られない情報がたくさんありますので、認定証に甘えずこれからも学んでまいります。
健康お役立ち情報
~アンチエイジングのためにできる骨と歯のケア~
40歳を過ぎると気になってくる「ほうれい線」と「眼の下のたるみ」。
高額な化粧品がたくさんありますが、お口を整えることもとても大切です。
女性は閉経を迎えると骨粗鬆症のリスクが高くなります。
60歳くらいで身長が1㎝ほど縮むと言われています。
骨粗鬆症になると骨折のリスクが高くなるので気を付けなければならないと思っている方が多いでしょう。
でも、腰の骨よりも早く老化するのは頭蓋骨なのです。
顔面骨と腰椎骨の骨密度を比較した研究によれば、顔面骨のほうが骨密度の減少率が大きく、骨密度が低下しはじめる年齢も若い。
腰椎は61歳以上なのに対し、顔面は41歳から低下をはじめるそうです。
40代の頭蓋骨量が約650グラムであったのに対し、70代は約280グラムにまで減少した事例も報告されています(図1)。
目元がくぼむのは頭蓋骨の骨量が減少するからなのです。
そうすると、その上に乗っている筋肉や皮膚も必然的に垂れていく。
それが「顔面地滑り」です(図2)。
ではどうすれば防ぐことができるか。
それは「よく噛むこと」と「栄養」です。
歯の根の周囲には薄い「歯根膜」というものがあります。
これは0.2㎜程度の」薄い線維組織で、衝撃吸収や、歯をあごの骨の中に留まるように弾力を持たせつつ固定する、噛んだ感触を脳に伝える役割などの役割があります。
更に、歯根膜には血管もあり、セメント質や歯槽骨にも栄養補給を行っています。
従って、よく噛むことが頭蓋骨の減少を防ぐことに繋がります(図3)
。
次に栄養です。
骨はほとんどが無機質ですが、20%が有機質です。
その中の90%がコラーゲンです(図4)。
骨を建物に例えると、コンクリートの部分(骨密度)がカルシウム、梁の部分(骨質)がコラーゲンになります(図5)。
大きな地震があると、免震構造の高層ビルはゆらゆらと揺れて崩壊を防ぐ構造になっています。
骨密度が高くても骨折する高齢者が増えているのは骨質がよくないからです。
コラーゲンをつくるためにはたんぱく質、鉄、ビタミンCが必要です(図6)。
ビタミンCの血中濃度が高ければタンパク合成量が増えます(図7)。
「顔面地滑り」を防ぐためにもよく噛むこと、きちんと栄養を摂ることを心がけましょう。
他にもお伝えしたいことはたくさんありますが、紙面の都合で書けなかった部分についてはLINEで配信したいと思います。
ご興味のある方はご覧ください。